「実務者研修」とはどんな資格?
介護職員初任者研修が介護の基礎を養う研修・資格だとすると、実務者研修はそこから一歩進んで、幅広い利用者に対する介護提供能力を獲得することが目標です。かつてのホームヘルパー1級資格に相当しますが、それだけではありません。研修は、2年以上の養成課程を持つ「介護福祉士」養成校の到達目標と同等の水準。今後の介護保険制度の改正内容や新たな課題・技術・知見を自ら把握できる能力も期待されています。
つまり、介護のプロとして進むためには、とても重要な研修なのです。最近介護職に強く要望されている、たん吸引や経管栄養の実務も、この実務者研修の中で学ぶことができます。研修は450時間と長時間ですが、数年かけて少しずつ修了に導けばよいことになっていますし、通信教育の積極的な活用も認められています。さらには、介護職員初任者研修を受講していれば、その分の130時間の研修は「読み替え」という形で免除されます。旧ホームヘルパー資格や認知症研修などを受けた者も、同様に一定時間の免除があります。
「実務者研修」を取得するメリットは?
〇サービス提供責任者になる際に有利
訪問介護事業所で「サービス提供責任者」になるためには、実務者研修か介護福祉士のどちらかの資格を持っていることが望まれます。実際には、ヘルパー2級の資格でもサービス提供責任者になることは可能です。しかし、平成25年4月より「ホームヘルパー2級を修了し3年以上の実務経験を得ることでサービス提供責任者と認められた者」は、訪問介護事業所に配置しても介護報酬(介護事務所の売上)から10%も減額されてしまうことになりました。そのため、訪問介護事業の経営的な視点でも、実務研修の修了者が求められています。
〇介護福祉士の受験資格が得られる
前述したとおり、平成28年度以降の試験では、介護福祉士の受験資格が厳しくなっています。専門学校等の2年の教育課程を経ずに実務経験3年以上の要件を満たしていても、実務者研修の受講が終了していなければ、介護福祉士の受験資格がありません。介護福祉士資格はキャリアアップのためにも、給料アップのためにも、介護職ならぜひ目指したい国家資格です。そのスタートラインに立つためにも、実務者研修はぜひ受けておきましょう。実務者研修を修了していると、介護福祉士の実技試験が免除されます。
〇喀痰吸引等研修(第二号研修)の基本研修が履修免除
これまで医療行為とされてきた「たん吸引」や「経管栄養」。平成24年4月から法改正により、一定の研修を修了した介護職員は医療などとの連携により、一定の条件のもとで「たんの吸引」や「経管栄養」を行うことができるようになりました。(登録が住んでいる事業所で業務を行うことが条件。また、研修で終了した内容のみ実施できる)。なので実務者研修を受講修了していれば、喀痰吸引等研修(第二号研修)の基本研修が履修免除となります(実地研修は必要)。重症化した高齢者が多くなる中、在宅で、また老人ホームなどでもたん吸引や経管栄養の実施ニーズが高くなっています。実務者研修の受講によってこれらを学んでおくと、就職や転職のときには非常に有利になります。
「実務者研修」の受験資格・試験内容・合格難易度は?
実務者研修の資格を得るには、450時間の受講科目を終了していることが必須です。この講習を受けるのには特に資格は必要ありません。しかし、ある程度の介護の知識を有する事を前提として進められて行くため、受講内容が少々難しいと感じるかもしれません。不安な人はまずは初任者研修を受講すると良いでしょう。実務者研修の受講費用は学校によって差が有りますが、大体15万〜20万円ほどになります。社会人にとっては、現在の生活を維持しながら受講出来るかどうかという事が気になるところです。学習時間は450時間になりますが、通信教育で受講出来るのと、スクーリングが10日間〜16日間とこなせない日数では有りません。そして、卒業試験が無いため、確実に修了できれば実務者研修の資格を得る事が可能です。
「実務者研修」取得者が活躍できる場は?
前述したように、訪問介護事業所では、サービス提供責任者として、実務者研修の修了者が大いに活躍しています。現場経験が豊富なだけではなく、幅広く、深い知識や技術を身につけた介護のプロとして信頼されます。もちろん、デイサービスや老人ホームなどでも、リーダー格として勤務することを望まれます。現場での経験を3年経れば、国家資格である介護福祉士の受験資格を得ることができ、さらなるキャリアアップも期待されます。認知症やたん吸引・経管栄養の知識もしっかりと得られるので、認知症グループホームや要介護度の高い利用者が多い介護施設では貴重な存在として受け入れられるでしょう。
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