なぜ、介護職に「共感疲労」が起こりやすの?
2021.03.31掲載
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介護の仕事知識編

介護職は、利用者と長期的にかかわり、身体に直接触れ、会話や笑顔、触れ方まで、すべてがケアでありサービスです。利用者に好ましい感情を持たなければできない仕事ですから、介護職も感情労働なのです。


「感情労働」とは、「受容」「傾聴」「共感」といった感情をめぐる高度なスキルを使って働くことをいいます。自らの感情をコントロールする「感情管理」は、みなさまが日常的に体験しています。例えば、「次の業務が待っているから早く切り上げたいのに、目の前のご利用者様を放置できない」「本当はイライラしているのに笑顔で対応する」といった、ご利用者様に対して抱いた何らかの感情を抑制したり、抱いていない感情を抱いているかのように振る舞ったりする状態が挙げられます。 
  また、家族とのコミュニケーション場面でも、介護職員の感情管理スキルは発揮されます。その場面において社会的に職業上望ましいと思われる感情を実際に抱いているかのように振る舞い、自分の内に湧き上がってくる感情をなだめ、別の感じ方に加工し、感情の感じ方そのものを意図的にコントロールしようとすること。こうした自己の感情コントロールを日常的に経験し続けると、感情の消耗をもたらすことになります。

特に介護職は利用者さんの心のケアや労りの大切さを心得ていて、日々相手にとっての「よいケア」を心がけている職業です。普通の人よりもずっと共感疲労を溜めやすいことは間違いありません。
利用者さんと心を通わせ、親身になって思いやり続けることで、疲労はどんどん蓄積していきます。

不眠や憂鬱な気分など、これまでとは違う感覚があれば、共感疲労の可能性のチェックをしてみましょう。人によって症状の現れ方は違いますが、一般的な疲労との違いはおもに次の6つ、1~4までは初期段階ですが、進行すると5、6になるおそれがあります。

  1. 利用者のことを考えてしまい、よく眠れないことがある
  2. 仕事に価値を感じられないときや無力さを感じることがある 
  3. 周囲の人から孤立していると感じる
  4. ささいなことにイライラしたり、以前より怒りっぽくなった
  5. 感動することがなくなってきた
  6. 利用者に関心が持てなくなった

上の項目に少しでも思い当ることがあれば、まず共感疲労について知っておくことから始めましょう。

 次は、「共感疲労」の対処法をお話ししたいと思います。